
先のアーティクルではAvocadoモデルと、CapExの観点でまとめましたが、人材の混乱についてまとめます。
Llama 4の開発難航とプロプライエタリ・モデル「Avocado」への急進的な転換は、MetaのAI組織内に深刻な亀裂を生み、象徴的なリーダーや中核研究者の大規模な離脱を招きました。主な人材損失の状況は以下の通りです。
- 象徴的リーダーと「FAIR」旧守派の退陣
最も大きな衝撃を与えたのは、MetaのAI研究の象徴であった ヤン・ルカン(Yann LeCun)の辞任です 。彼は、スピード重視の「Demo, don’t Memo(メモよりデモ)」という新方針や、研究よりも製品化を優先する体制に反発し、2025年末に同社を去りました。また、 FAIR(Fundamental AI Research)部門を率いていたジョエル・ピノー(Joelle Pineau) も、Llama 4の不振を受けて2025年4月に解任されています。
- オリジナル「Llama」チームの崩壊
2023年にLlamaの画期的な論文を執筆した14人の主要研究者のうち、2025年5月時点でMetaに残っているのはわずか3名(約22%)に過ぎません。
離脱率78% : オリジナルメンバーの多くは、Mistral AI(ギヨーム・ランプ、ティモシー・ラクロワらが設立)などのライバル企業へ移籍、あるいは自らスタートアップを立ち上げました。
ベテランの喪失 : 離脱したメンバーは平均5年以上Metaに在籍していたディープな知見を持つ研究者であり、Metaは「創造的な原動力」を失ったと指摘されています。
- 「Meta Superintelligence Labs (MSL)」での新旧対立と離脱
アレクサンドル・ワン(Alexandr Wang)の指揮下で新設された「TBD Lab」では、外部から引き抜いたスター人材の定着に苦戦しています。
超短期での離脱 : OpenAIやxAIから巨額の契約金で引き抜かれた アヴィ・ヴェルマ(Avi Verma)やイーサン・ナイト(Ethan Knight) らは、MSL加入からわずか数週間から1か月で古巣のOpenAIへ戻るという異例の事態が起きました。
「Us vs Them(俺たちか、あいつら(古参)か)」の文化 : ワン氏が主導する新体制は、InstagramやFacebookのデータ活用を優先するクリス・コックス(CPO)やアンドリュー・ボスワース(CTO)ら「古参」幹部と激しく対立しました。
マイクロマネジメントへの不満 : ワン氏やザッカーバーグ氏の直接的で過剰な干渉(マイクロマネジメント)が「息苦しい(suffocating)」と感じる研究者が多く、これが短期離脱の要因となっています。
- 組織の空洞化
2025年10月には、組織の俊敏性を高めるという名目で、MSLやFAIR、AIインフラ部門から約600名が解雇されました。このリストラと相次ぐ幹部(法務責任者のジェニファー・ニューステッドや収益責任者のジョン・ヘゲマンら)の退任により、MetaのAI部門は経験豊富な人材が大幅に不足する「空洞化」の危機に直面しています。
